来年の放流用アユ生産に向け、小国川で親魚の採捕をしています。2008.10.10掲載(20日に一部修正)●


産卵のため群れになって川を下ってくるアユに小鷹網を打って捕獲します。
捕獲したアユは傷つけないよう丁寧に網から外し、オスとメスに分別。
さらに成熟度に応じて分別します。
親魚採捕は、このノボリを立てて行っています。 いま小国川の最下流域では、山形県内で放流する人工産アユの生産(来年放流用)に向けて、その親魚となるアユの採捕を行っています。今年は9月24日から作業を開始し、ほぼ休みなしで、産卵のために川を下っていくアユを採捕しています。採捕したアユは、親魚として使えそうな成熟したアユだけを選別し、それが数十匹たまったところで稚アユ生産を担当する山形県栽培漁業センター(鶴岡市三瀬)に引き渡します。今年は9月28日、9月30日、10月5日、10月9日の4回にわたって親魚を引き渡し、あとは12日にも引き渡しを行って、これで今年は終了となる見込み。引き渡す親魚の数は雄雌合わせて700~800尾になりそうです。
 ところで、700~800尾のアユを引き渡すといっても、これは容易なことではありません。山形県栽培漁業センターに渡すアユは、アユならどんなアユでもいいわけではなく、採卵、受精に適した産卵間近の成熟したアユでなければなりません。採捕を担当している当漁協の担当者によると、採捕したすべてのアユの中で、栽培漁業センターに渡せるようなアユは1割いくかいかないかとのこと。それで700~800尾を用意するわけですから、これがいかに大変なことかお分かりいただけるかと思います。しかし、山形県では天然魚を採捕して、それを親魚にしたより天然に近いアユをつくることにこだわっており、そのためには依頼を受けた当漁協ががんばるしか方法はありません。おかげさまで山形県産の人工アユは「冷水病に感染していない」「冷水病に強い」「他の人工産アユに比べ性質が天然に近く、追いがいい」などと評判は上々で、他県からも多くの需要があるそうです。そういうのを励みにして、来年も天然に近い元気なアユが放流できるように、がんばります。

●山形県の人工産アユについて
 山形県内で毎年5月後半から6月にかけて河川に放流するアユは、以前は琵琶湖産アユも放流していましたが、現在は小国川など県内の河川で採捕した天然アユを親魚にして生産する人工産アユに切り替わっています。
 山形県の人工産アユの生産は、まず秋の天然親魚の採捕から始まります。毎年9月末から10月上旬のアユ産卵期になると、小国川をはじめとした県内のいくつかの河川で親魚の採捕がなされ、その中から人工受精に適した親魚だけが厳選されて山形県栽培漁業センター(鶴岡市三瀬)へと運ばれます。具体的には同センターの係員が運搬車で親魚を採捕している場所に足を運び、その場でアユを選別してすぐにセンターへと持ち帰ります。そしてすかさず採卵を受精を行います。
 受精させたアユの卵は、孵化した後、海から取り入れた海水で翌年2月頃まで育て、今度はその稚アユを県内各地の中間育成施設に移して5~6月頃まで育成し、河川に放流するという手はずになっています。
 山形県栽培漁業センターによると、来年度のアユ仔魚生産目標数は約400万尾。うち県内放流用として300万尾を見込んでおり、残り100万尾は、近年増える一方の他県からの需要用に充てたいということです。ちなみに今年度は和歌山県、岩手県、徳島県、茨城県などから引き合いがあったとのこと。また今年は福島県から人工アユ生産用として親魚の引き合いがあったということでした。
 なお最後になりますが、山形県栽培漁業センターの人工産アユ飼育方法については、今年特許を取得したとのこと。魚の生産・飼育飼育においての特許取得は非常に珍しいことで、そのオリジナル性と優れた生産・飼育方法が公に認められた一つの証左といえると思います。また、同センターでは受精率を高めるために独自で「精漿」というものも開発しており、一般には2~4割程度しかない受精率を6割程度までアップすることに成功したそうです。当漁協も、このようにがんばっている山形県栽培漁業センターとともに力を合わせ、健全でより天然に近いアユの生産・放流に寄与していきたいと思います。皆さんもどうぞご理解とご協力をお願いいたします。

●運搬車到着~アユの選別のしかた等をご紹介します。

山形県栽培漁業センターの魚運搬車が到着しました。

川で生かしていた親魚候補のアユを、栽培センターの担当者がさらに選別します。

これはメスアユの選別の様子。アユの腹部を軽く押して卵の成熟度を調べます。これで卵が出てくれば完全に成熟しているということで合格。合格率は全体の1~2割程度です。

オスアユも同様に腹部をちょっと押して、精子が出るかどうかをチェックします。

合格したアユだけが運搬車に入れられ、三瀬まで運ばれます。採卵から受精までの作業は、運んだその日のうちに行うそうです。

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