今年もアユの中間育成に向けて、稚アユの“池入れ”が始まりました。2009.2.20掲載

 当漁協の事務所や鮎の中間育成施設がある山形県舟形町は、まだ冬まっさかりで写真のように雪いっぱいですが、そんな中で今年初となる“稚アユの池入れ作業”が始まりました。19日はいつものように、魚運搬用の設備を載せたトラック2台に分乗し、稚アユを育てている山形県栽培漁業センター(鶴岡市三瀬)に向けて朝8時に舟形町を出発。同センターで稚アユを積み込むとすぐさま取って返し、当漁協の稚鮎センターには午後1時ころに到着しました。いつもなら11時ころには着くのですが、このところ山形県は雪が降り続き、この日も道路状況が思わしくなく、思ったような速度で走れなかったということです。到着後は、すぐさま水温を図り、育成池の水温と運搬設備内の水温に差がほとんどないのを確認して、池入れ作業を行いました。
 この日池入れした稚アユは7万尾。この稚アユは、昨年10月に小国川で採捕した親魚から採卵・受精させて育ててきた100%山形県産(小国川産)で、限りなく天然に近いとして県外の漁協やアユ育成関係者が注目するものです。まだ体長は5cmくらいしかありませんが、5~6月の放流時には10cm前後まで育ち、7月1日の解禁時には15~17cmくらいまで育ってアユ釣りファンの皆さんを楽しませてくれるはずです。
 今後は2月20日、3月20日、24日、25日、26日、27日と池入れ作業を行い、8つある育成池でトータルで54万尾を中間育成する予定です。今年も細心の注意を払って中間育成に努め、多くの皆様に喜んでいただけるよう元気で健全なアユを育てていくつもりです。どうぞご期待ください。
※ワンポイント・ニュース
 アユに限らず、どんな魚でもあるいは他の生き物でも、養殖や育成をしているうちには何らかの理由で死んでしまう個体が出てきます。その割合(へい死率)をいかに低くするかは、すべての養殖施設や育成施設の課題だと思いますが、当漁協でも毎年その“へい死率を下げるため”に、中間育成にあたる担当者たちが話し合いを重ね、新しいテーマに取り組んでいます。一昨年には「池入れした後、どのくらい経ってから酸素供給用の水車を回すか」を議論してそのテーマに取り組みましたし、その前は、天井部の鉄骨からサビを含んだしずくが池に落ちて何らかの影響を与えてるのではないかと、組合員で鉄骨のペンキ塗りを行いました。組合員はけっこう高齢の者が多く、高い場所でのペンキ塗りはビクビクものでしたが、がんばってやりました。そして今年は、育成池の内部の塗装について考えてみました。育成池はコンクリート製で、表面はザラザラしています。そういうザラザラしたした状態よりも、ツルツルしている方がいいのではないかと考え、以前からいくつかの池で表面の塗装を行っていましたが、へい死率に大きな違いはなく、いまひとつ大きな効果は感じられませんでした。そこで今年は、塗装の質にこだわり、プール用に使われる高級な塗料で塗装してみることにしました。この塗料は通常よりかなり値段が高く、財政的には痛い出費でしたが、いくらかでもへい死率の低減や、健全なアユづくりに効果が出ればと思って試してみることにしました。ペンキ塗は、昨年11月に担当者3人で3日がかりで、3回にわたる重ね塗りをして仕上げました。今年、どのような効果があるか、注意深く見守っていくつもりです。・・・・健全なアユづくりのためにしている、こうした私たちの努力、皆様にも少し知ってもらえるとありがたいです。


まだ当漁協の稚鮎センターは雪の中です。

池入れ初日の19日は、県の内水面試験場から専門家に来てもらい、
中間育成に関する指導をしていただきました。写真は育成池の溶存
酸素量と水温について話し合っているところです。

雪の降り続く中、予定より2時間遅れで運搬車が到着しました。

水温を確認し、すぐさま池入れ作業の開始です。

運搬車から育成池へは、サイホンの原理を利用した器具でアユを移し
ます。寒い中で、水温10度の水に手を入れながらの作業はけっこうキ
ツイものがあります(手は消毒液で消毒しています)。

体長5cm前後のかわいい稚アユたち。元気に育ってほしいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です