2003年のニユースより抜粋


●今年も小国川で、来年のアユ中間育成用に向けた親魚採捕を行っています---10/14掲載
 10月になってすっかり秋めいてきた今日この頃ですが、小国川では現在、この時期恒例となったアユの親魚採捕を行っています。アユの親魚採捕は、山形県における来年のアユ中間育成に向けたもので、採捕した親魚は山形県栽培漁業センター(鶴岡市三瀬)に送り、同センターで採卵、受精を行って来年2月頃まで仔魚を育成します。その後は県内各地の中間育成施設に移して放流に適したサイズまで育て、5月下旬頃から各河川に順次放流していきます。その一連の作業の元となる親魚の採捕を、いま小国川で行っているというわけです。
 山形県栽培漁業センターによると、昨年は採捕した親魚から約500万粒の卵を採取しましたが、同センターで孵化・育成した仔魚の評価が非常に高く福島県、新潟県、岩手県などからも放流用として引き合いが来ていることから、今年は600万粒を確保して孵化・育成に取り組む予定。そのためにメスの親魚300尾、オス150尾の確保を目指しているということです。親魚は当組合管轄の小国川と最上川第二漁協管轄の寒河江川で確保するそうです。ちなみに今年はアユのサイズがたいへん大きく、1尾のメスから約2万粒の卵が採取できるとのこと。孵化率は約6割程度なので、計算では約360万尾の仔魚を孵化・育成できることになります。
 当組合では、9月下旬から親魚の採捕を開始し、10月下旬まで行う予定です。採捕は小国川下流部に設けた“止め”を利用して、川を下ってきたアユに網を打ってつかまえる方法をとっています。採捕したアユは丁寧に網からはずし、山形県栽培漁業センターの運搬車が到着する日まで生け簀に入れておきます。センターの運搬車が到着すると、係の方が1尾1尾卵の熟度を確かめながら、親魚になるものだけを選んで鶴岡市三瀬の栽培センターに持ち帰るという手順になっています。作業にあたっている山形県栽培漁業センターの方によると、採捕した魚のうち、親魚として使えるのは約1割程度とのこと。他の個体は卵を持っていてもまだ熟していないことが多いということです。ですから、たとえば採卵に使える100尾のメス魚を確保するには、その10倍の1000尾を採捕しなければならず、非常に手間のかかる作業というわけです。アユが産卵するために下る時は群をつくりながら川を下りますが、その群は4〜5尾程度のこともあれば、50尾ほどの大きな群で下って来るときもあります。群が現れるのは1日にせいぜい4〜5回程度。しかし日によって群が現れる回数も群の大きさもまちまちで、風や雨の日は水面が波立って魚の姿が見えなくなってしまいます。そうしたさまざまな条件下でアユを採捕していくのは、皆さんが想像する以上にたいへんな作業なのです。
近年、山形県内で放流される稚鮎は非常に評価が高まっていて注目を集めていますが、そうした優れた稚鮎を育成するためにさまざまな作業があり努力を重ねています。当組合や山形県のこうした仕事の一端も、ぜひ皆様に知っていただければ幸いです。
※山形県の人工産アユが全国から注目を浴びている大きな理由は、親魚として使うアユに川で採補した天然アユを使っていることが上げられます。親魚から採卵し孵化・育成する人工産は他県でもやっておりますが、ほとんどの場合、親魚に天然アユは使っていません。施設内で育てたアユをそのまま親魚にする「経代飼育」の方法を採っています。この経代飼育は“近親”の度合いが高くなり、さまざまな弊害が現れやすくなります。釣り人の皆さんには、ウロコの枚数を例にとるとよくわかるかも知れません。ウロコの枚数は純天然の場合は枚数が多く、さわった感触は非常になめらかです。しかし人工産はウロコ枚数が少なくなり、純天然と比べてザラザラした感じになります。山形県の人工産は純天然のアユに比べればウロコ枚数は少ないものの、他県の人工産に比べれば断然ウロコ枚数が多く、限りなく純天然に近いことが調査でも判明しています。

下ってきたアユの群を確認し、すかさず網を打ちます。
熟練を要する難しい技術です。またいつアユが下ってくる
かわからないので、常に川から目が離せません。集中しな
がら川を見続けるのも大変なことです

捕獲したアユはすぐに水の入ったタライに移し、手早く網か
ら外していきます。タライには新しい水を常にバケツで運び
入れ、アユが弱らないように配慮します。アユを網から外す
時も傷をつけないよう細心の注意をはらいます

山形県栽培漁業センターの方が採補したアユを選別してい
るところです。オス・メスを選別し、メスの場合は卵の熟度を
確認し、採卵に適した魚だけを選んでいきます

上の写真はメス魚の卵の熟度を確かめているところです。
魚にダメージを与えないよう手早くやらなくてはなりません

選別したアユは運搬車に入れ、約2時間かけて鶴岡市三
瀬の山形県栽培漁業センターへと持ち帰ります。運んだ
アユはその日のうちに採卵・受精させるそうです